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長い歴史の中で蓄積された
日本独特の色彩感覚 -
二頭の蚕が入った玉繭。
絡み合いながら紡がれる糸には
節が生じる -
手紡ぎされた無撚の真綿糸を
用いることで生まれる風合い -
地域の特性が色濃く反映する
染めの工程 -
完成図を糸で描き染め分ける
「絣」という緻密な技法 -
織り上げられた絣の持つ
美しい曖昧さ -
こんなに優しく、
ふくよかなシルクの手触りは、
かつて体感したことがない -
手作りの良さは、
そこに人の存在を感じられるからだろう
ARLNATA (アルルナータ)は、
現代のライフスタイルに合わせたモノづくりを通じ、伝統技術の新たな価値を発信するプロジェクト
「新た(ARATA)(ALATA)」と「あなた(ANATA)」を掛け合わした造語で、
ARLNATA に関わるあなた方一人一人と共に、この輪を育てて行きたいと言う意思を表している
着物の美しさを初めて認識させられたのは、
パリの世界的なテキスタイルの展示会・プルミエールビジョンだった
シンプルに壁に掛けられていた牛首紬の色彩の豊かさに目を奪われ、その美しさに衝撃を受けた
しかも、人の手が加わることが付加価値となり、
シルクという素材が地域性を帯びながらそれぞれの異なったキモノへと変化し愛用されていることに日本特有の価値観を垣間見た
自分自身は洋服を通じて様々なテキスタイルに携わる身でありながら、
自国の布と今まで向き合う機会を持てなかったことへの違和感も覚えた
産地を巡りながら湧き上がる 、精緻な柄を産み出す素晴らしい技術と職人の手仕事への畏敬の念
しかしながら、ラグジュアリーであるべき素材がそれにふさわしい形で用いられていないことへのもどかしさも感じた
これほどの存在が限られた人にしか知られていない事実
そしてそれらの存続が危ぶまれている現状
これらに直面したことが、日本の伝統織物の存在を世に適確な形で発信する必要性を感じるきっかけとなった
受け継がれてきた大切なこの国の資産を現代のライフスタイルに合った形で発信し、存続させていくための方法を探る
日本だからこそ可能なラグジュアリーの価値を問い続ける
2019年4月、三大紬とも呼ばれる大島紬、結城紬、牛首紬 からスタートしたのは、
一見質素に見える紬地の中に、高い精神性を持つ人たちの手仕事がちりばめられていることに惹かれたからだ
寺西 俊輔
京都大学建築学科卒業後、YOHJI YAMAMOTO 入社。生産管理・パタンナーを経て、イタリア・ミラノに渡る。CAROL CHRISTIAN POELL
チーフパタンナー、AGNONA クリエイティブディレクター STEFANO PILATI 専属3Dデザイナーとして経験を積んだ後、HERMÈS
入社、フランス・パリに移る。
アーティスティックディレクターNadège
Vanhée-Cybulski の下、レディスプレタポルテの3Dデザイナーとして働いた後、2018年日本に帰国し伝統産業の新たな価値を発信することを目的とした
STUDIO ALATA を設立、「装い」を提案するライン ARLNATA
(アルルナータ)を立ち上げ、主に伝統的な着物をテキスタイルとして扱い、それを用いた和装・洋装の両面で提案する。
CHEN CHIEN-TZU 陳 千慈
台北實踐大学Fashion Design在学中に、Taiwan Textile Federation(紡拓會)で新人賞を獲得。 卒業後、イタリアのミラノに渡り Istituto Marangoni のFashion Desgin科にてマスターを取得。卒業後、Saverio Palatella(サヴェリオ パラテッラ)にてウィメンズニットデザイナーとして就職した後、Ermenegildo Zegna Group(エルメネジルドゼニアグループ) 傘下のAGNONA(アニオナ)にてクリエイティブディレクターStefano Pilati(ステファノピラーティ)氏のベルリンオフィスにてパーソナルアシスタントとして働く。パリに移りCarven にてジュニアデザイナーとして入社後、台湾の高級メゾンShiatzy Chenパリオフィスのシニアデザイナーとして活躍。2018年末日本に移住し、寺西俊輔と共にSTUDIO ALATA設立、ARLNATA(アルルナータ )プロジェクトのチーフデザイナーとして活動中。